続・バリ伝 by CB太 

第1話 ・ 第2話 ・ 第3話 ・ 第4話 ・ 第5話 
第6話 ・ 第7話 ・ 第8話 ・ 第9話 ・ 第10話 


この物語は、当ページのメンバーCB太さんが掲示板に寄稿してくださったもので、あまりによくできた作品であったことから、本人の了解を得てコーナーとして掲載させてもらいました。
なお、この物語は『バリバリ伝説』とは何の関係もございません。
あしからず御了承ください。

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 第1話

WGP最終戦:SUZUKAから数日後、グンのWGP500チャンピオン獲得祝賀会が 東京のホンダ青山ビルで開かれていた。
グン自身はあまり派手な祝賀会は好まなかったが、みんなが喜んでくれているのがうれしかった。
日本各地での祝賀会や取材、イベントがやっと落ち着いたころグンは歩惟と結婚することを決めていた。 グンの性格”決めたことはすぐ実行”ということで早速、比呂とミイに身内だけでの パーティー形式の結婚式を企画してくれないかと相談した。
すると・・・・
なんと!! 比呂とミイも結婚するという。ミイのお腹には新たな生命が生まれていたのだった!(マジけ〜〜〜〜!!) それならってことで、この際合同結婚式をしょうということになった。(君達は統○教会信者かっ!!)

2ヵ月後・・・・2カップルの結婚式が行われた。
社長令嬢のミイ、WGPチャンプのグンたちの結婚式とは思えないような質素な式ではあったが、 ふんわりしたアットホームないい式であった。

その2週間後・・・・ホンダとの契約更改でワークス入りの条件にサインしないグン・・・・。
グンはイチノセレーシングチームのまま、走りたいのだった。
WGP500のゼッケン”1”がサテライトチームで走るなんて前代未聞である!!
しかしグンは契約金や待遇よりも自由に走りたかったのだ。
結局ホンダのほうがおれる形で来年もサテライトで走ることとなった。
ただし・・・ホンダの好意によりマシン、パーツ、タイヤなどはワークスと同じ最新の物を支給してもらえる。

シーズンオフのテスト。
どうしてもワークスライダーに合わせたマシン開発が行われる。
乗りにくそうに走るグン。
必然にグンのタイムに期待がかかる。しかし同仕様に乗るガードナー、サンダーに0,5秒の遅れがやっとという有り様・・・。
テストの最終日、路面は絶好のコンデション。
2人のワークスライダーは今までのコースレコードを1秒更新!!
それを見たグンがタイムを出すためにコースイン。
3周流した後、フルスロットルでストレートを走り抜ける。
ストップウォッチを握る島崎の手が汗ばむ。彼は相変わらずJPSのキャップをかぶっている。
データ取りのためコースの区間タイムが次々とモニターに写し出される。
そこに写し出されたタイムが2人のワークスライダーより0,2秒速い!!
しかもコースを4区間に分けた第1区間でである。
島崎はヤバイと思った。今のマシンの状態で出せるタイムではない!
第2区間でもさらに0,1秒速い。
このまま1周すればどんなタイムが出るのだろうか?
島崎がそう思ったとき無線連絡が飛び込んだ!
グンが高速S字で転倒・・・

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 第2話

ストローバリアの直前に横たわるグンはピクリとも動かない。
コーナーではイエローフラッグが振られ、コースマーシャルがグンに駆け寄る。
マーシャルの呼びかけに反応がないグン。
すぐに救急車が要請された・・・・ 

暗闇の中で聞こえてくる声・・・
「ノッポ。まだお前はこっちに来たらあかんでぇ。」
秀吉の声がする。
暗闇の中で秀吉がこっちを見て立っている。
「ほな、わいはもう行くわ。」
秀吉はそういうと振り返り暗闇に消えていった。

「うぅっ!!」
あまりの痛みで意識を取り戻すと、白い天井が見えた。
「グン!!」 島崎と太田が椅子から立ち上がる。
状況の飲み込めないグンに転倒した後、緊急ヘリで病院に運ばれたことを告げる。
そして精密検査では異常なかったことも・・・ただし右手首と左足首の骨折以外は・・・

翌日、手術のため日本に帰国することとなった。

空港では歩惟が目を真っ赤に腫らして、グンの到着を待っていた。
車椅子に乗り太田に押されて出てくるグン。
それを見つけた歩惟は涙を溜めて走り寄った。
2週間ぶりに会う新妻を抱きしめることも出来ないグン。
ただ、力なく笑うしかなかった・・・
「やっちまったよ。ごめん・・・」

「いいの。生きてさえいてくれたら・・・」
その言葉に動揺するグン。秀吉の事故のときでさえも考えなかった自分の死を 初めて意識し始めた瞬間であった。
帰国から3日後、手術が行われた。手術自体は成功したのではあるが、左足首の骨折は かなりひどく日常生活には支障ないものの、100%もと通りには戻らないだろうという 診断だった。そして全治2ヶ月・・・・
今シーズンの第4戦までを棒に振ることとなった。

ケガの回復は思ったよりも悪く第5戦にも間に合いそうもない。
しかしディフェンデイングチャンピオンの意地もあり、なんとか出場する。
これ以上ノーポイントでは今年のチャンピオンをあきらめなければならない。

傷付いた体でなんとか予選は4番手。
そして迎えた決勝。スタートのシグナルに全神経を集中させ、絶好のスタートを切ったグン。
前にはここまで4戦全勝のラルフ・アンダーソンのみ。
グンはラルフに引っ張られ3周目には自身の予選タイムを上回った。
5周目には3位以下が2人から遅れ始める。
ラルフの後ろで走っていることでグンは集中力が高まり本来のキレのある走りがよみがえって来た。
2人にバトルは他のライダーの次元を超え、10周目には完全に2人だけの勝負となった。
そして迎えたラストラップ。
先頭はグン! スリップストリームに入っていたラルフがマシンをイン側に振る。
1コーナーが迫ってきた! ラルフはレイトブレーキでグンにインにもぐりこんで来た!
グンもひるまず強引にアウトから被せにかかる! 
2台はそのままクリッピングポイントまで併走したあと、接触!!・・・・

アウト側にいたグンは弾き飛ばされ、NSRとともにグラベルに消えた・・・・

このときシーズンオフで負傷した傷をさらに悪化。完全に今シーズンを棒に振ってしまう・・・・

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 第3話

グンが運び込まれた病院でHRC監督の梅井とチーフエンジニアの島崎がドクターに呼ばれた。
緊急手術の説明と同意書へのサインであった。
ドクターからの説明で”カットオフ”という言葉が使われ、思わず梅井が聞き直した。
「カットオフ? カットの間違いじゃないのか?」
カットオフとは切断を意味する・・・・
左足首の骨が砕けてしまっているらしい。ドクターは治療の見込みがないとの判断したのだった。
梅井はあわててWGP専属ドクターのコスタに連絡を取り、なんとかカットオフは避けるよう 病院ドクターを説得してもらう。
なんとかカットオフは回避し、本格的な手術は日本に帰国後行うこととなった。

WGPシリーズ終盤、あと4戦残しラルフ・アンダーソンがGP500チャンピオンを決定した。
11戦中、優勝8回、2位2回、4位1回、リタイア1回でマシントラブル、タイヤトラブルの発生したとき意外は すべて独走優勝であった。

ラルフが早々とチャンピオンを決定したことで、各チームが来年に向けた体制を考え始める。
HRC本社の会議室。HRC幹部役員と全日本監督、WGP監督などが一同に集まる。
ここまでの各ワークスライダー、サテライトライダー、ホンダ系の有力プライベーターの成績が書かれた資料が 配られた。
各ライダーの評価と契約更新の有無を話し合われた。
グンの評価の順番が来た。
各役員が怪訝そうな表情をする。
成績:WGP第5戦リタイア・・・
評価のしょうがないのだ。
役員の一人が発言する。
「彼はサテライトでマシンは無償供与だったねぇ。」
「この成績じゃ契約の更新は無理だなぁ。」
役員一同はうなずいている。
「まぁ、有償のマシン貸し出しなら考えなくもないが・・・」
「ただ、最新モデルは無理だなぁ」
そんな会話が各役員の間で交わされていた。
テーブルの下で拳を握りしめ、顔を真っ赤にしていた梅井が、突然立ち上がり 「彼は昨年のWGP500のチャンプですよ! しかも参戦1年目の500チャンプは ケニー・ロバーツ以来の偉業だった!
今シーズンだって怪我での成績不振でしょう! 実力ではワインやサンダーより上です!
怪我さえ治れば、来シーズンはトップで走れます!!」
役員の1人が「全日本で1年ほど様子見してはどうか?」と言う。
梅井は顔を横に振る。
いままでWGPから全日本に戻って再びWGPに戻ったライダーはいないことを梅井は知っていた。
「なんとか一年落ちのモデルを無償で出せませんか!!」
有償となると1億円以上が必要となる。イチノセRTにはそんな予算はない。
なんとか梅井は無償で貸し出すよう、役員を説得した。

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 第4話

その頃、グンは長い入院からやっと退院した。
久しぶりの歩惟との新居生活がリハビリ生活になるとは・・・
それでも歩惟は少しうれしかった。しばらくの間、2人だけの生活が始まるのである。

最初の1週間は歩惟との生活に新鮮味があったグンだが、いくらリハビリをしても いっこうに曲がらない右足首に焦りと苛立ちが募って来た。
そのためちょっとしたことでも歩惟とケンカになってしまう。
そのたびに涙を浮かべる歩惟・・・
グンは歩惟に当たり散らす自分自身にも苛立ち始めた。

退院後、何度かグンたちの新居に様子を見に来ていた比呂が久しぶりに太田を連れて やって来た。
グンがリハビリ生活に飽きているだろうと思い、外へ連れ出す。

比呂が運転するクルマはグンと太田を乗せて走る。
グンはどこかドライブにでも行くんだろうと思っていた。
1時間ほどして着いたところは・・・イチノセレーシングのガレージであった。
わけのわからないグンをガレージの中へ招き入れる太田・・・
ガレージの奥にはピカピカに磨かれ、整備されてあるCB750Fが置かれていた。
WGP参戦を機にグンはNS400RとCBをガレージに預けておいたのだった。
「その足や手首でもこいつなら乗れるだろう?」と比呂が言う。
「3人で走りませんか」と太田が言った。
あまり気乗りがしなかったグンだが2人の気遣いを素直に受け入れた。
比呂のZ400GPを先頭にグンのCB−F、そしてCBR400RRに乗り換えた太田と続いて走る。
しばらく市街地を走った後、ちょっとしたワインデイングロードに差し掛かる。
器用にカカトでチェンジをするグン・・・
心地よい風のなかを駆け抜ける。
なぜだか楽しくなってきた。
そう・・・なにも考えず走っていた頃、走っているだけで純粋に楽しかった。
いつからだろう・・・バイクに乗ることが純粋に楽しめなくなったのは・・・
レースではストレートで風は壁となり、ブレーキングとコーナーではタイヤのグリップとだけ対話し、 限界を極めれば極めるほど、楽しむということからかけ離れていく。
グンはバイクを楽しむということを忘れていた。
CB−Fはそんなグンにバイクの楽しさを改めて教えてくれる。

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 第5話

小1時間ほど走った後、グンと比呂が高校時代に行きつけていた喫茶店”一粒の豆”で休憩する。
マスターがグンのことを覚えていてカウンターの奥にはグンがチャンピオンを決めた日本GPの表彰式の 写真が飾られていた。
気恥ずかしそうにしているグンにマスターが右手を差し出した。
「久しぶり!チャンピオン獲得おめでとう。今年は残念だったね。来年は期待してるよ!」
グンはマスターの手をしっかり握り返しうなずく。

しばらく3人はコーヒーを飲みながら雑談をしていた。
太田がグンに切り出す。
「怪我の具合はどう?」
「ん〜、右手はほとんど痛まない。足がね〜。」とグン。
比呂が「痛むのか?」
「いや、痛むと言うより曲がらないんだ。今までの1/3ぐらいしか曲がんねぇ〜。」
「CBだったらなんとか乗れるんだけど、NSRだと・・・。なんとかなんないかなぁ〜。」
「グンはリヤブレーキをほとんど使わないよね。」と太田。
「うん。」
「何とかするよ! いいアイデアがあるんだ。いま島崎さんとHRCで最後の詰めをやってる。」
太田が笑顔で答えた。
「ほほ〜、そりゃ楽しみだ。どんなの??」とグン。
「それは、見てからのお楽しみ!!」にやにや笑いながら太田がいう。
「ちぇっ! ライダーに秘密かよ・・・。CBももうちょっと何とかならない?」とグン。
比呂が「カブみたいにシーソー式のチェンジペダルにすれば?」
「それならすぐ出来るよ!」と太田。
「じゃぁ、来週までにやっておいてよ。」
「OK!!」

3日後、太田からCBが出来上がったと連絡があった。

早朝4時、薄暗い峠道をグンとCBが軽快に走る。
この前よりはるかにチェンジしやすく、走るペースがだんだん上がってくる。
コーナーを抜けアクセルを開けようとしたとき、かなり前方に赤いテールライトが見えた。
見覚えのあるテールライト・・・・
なぜか頭の中が真っ白になる。
シャカリキに追うグン。
コーナーを抜けるたびに少しずつテールライトが近づいてきた。
グンのCBが照らすライトの先に映りだしたヘルメットとライディングフォーム・・・
「秀吉!」 グンはつぶやく・・・。
次のコーナーに消えるテールライト・・・。
グンがそのコーナーを抜けるとそこにはテールライトは無く、あさひが山肌から昇ってきていた。

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 第6話

グンは今朝の出来事をだれにも言わなかった。
幻だったのか・・・自分自身でもわからない。
ただ、秀吉の最期の言葉を思い出していた。
「ノッポ、はやくなろうな・・・」
グンは考えていた。何のために走るのか?
チャンピオンを獲るため? メーカーのため? お金のため?
昨シーズンはチャンピオン連覇のため無理を押して出たレースで転倒・・・
俺はなぜ走っているのか?
楽しいから?? 速くなるため??
久しぶりに乗ったCBはバイクに乗る楽しさを思い出させてくれた。
そして秀吉の言葉・・・「はやくなろうな」
グンは心から「速くなりたい」と思った。
チャンピオンを獲ってから少しモチベーションが下がっていたのかもしれない。
チャンピオンや優勝ではなく、ただ単純に速くなりたいと思ったのだ。

年が明けて1月中旬、グンと島崎、梅井がIRTのガレージに集まった。
そこには契約に書かれていた型遅れのNSR500が置かれていた。
梅井が「すまん。型遅れしか確保できなかった・・・。」と頭を下げた。
「いいえ。無償で貸してもらえるだけでありがたいっすよ。」とグンが答える。
島崎が「型遅れって言ってもおまえ専用のスペシャルだからな! 梅井さんに礼を言っておけ!」と言う。
太田が言ってたアイデアのことである。
早速、グンはバイクに近寄ると思いも寄らぬシステムがNSRに施されていた。

本来、左ステップにあるはずのチェンジペダルがなく、左ハンドルにクラッチレバーとは別に もう一本短いレバーが付いている。
右ステップにはエンジンから伸びているペダルがある。マスターシリンダーが付いて無いことから ブレーキペダルではないことがわかる。

「どうなってんだ?」と言うグンに島崎が「ちょっと慣れが必要だがお前なら乗れるだろう?
右チェンジだ。左ハンドルにある短いレバーがリアブレーキ用。まぁ、お前はリアブレーキはほとんど 使わないからいらねーだろうけど・・・」
「マジかよー! こんなのレギュレーション違反じゃねーのか?」とグン。
梅井が「FIMには確認を取った。大丈夫だ。」と答える。
島崎が「お前の足の状態を考えて右チェンジにするためクランクケースからミッション関係はすべて 新作だ。お前のためだけに作られたスペシャルエンジンだ。」と言う。
グンは「俺のためにすいません。」と梅井に頭を下げる。
梅井は言った。「もう一度、日本人のWGP500チャンプを見させてくれ・・・。」(NHKプロジェクトX風)

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 第7話

シーズン開幕まで1ヶ月になった頃、グンはHRCと共に各サーキットをテスト走行していた。
グンのマシーンは昨年型のためデータが豊富にあり、何の問題も無く連続走行ができた。
右チェンジに慣れるには好都合で走るたびにグンはタイムを短縮していく。
対してHRCワークスのガードナーとサンダーはNEWマシーンに手こずっていた。
昨年、YAMAHAのアンダーソンにまったく歯が立たなかったため、HRCがマシーンを一新したのだが テストライダーが走るぶんには問題なかったが、GPライダーが乗るといろいろと不具合が出てくる。
特に今回、ENGパワーをかなり上げてきていたのだがそのパワーとフレームの剛性がマッチしていないため セッティングが決まらない。
ストレートではグンがスリップストリームに入れないぐらいにスピード差があるのにコーナーでグンがすぐに追いついてしまうほど 事態は深刻だ。
しかし、ワークスの意地がありNEWマシーンをなんとか仕上げようと躍起になっている。
そうこうしているうちに開幕が迫ってきた。

開幕戦:マレーシア
HRCワークスは問題を解決できないまま開幕戦に臨んでいた。
グンのほうは右チェンジにも慣れ、テストしたサーキットのレコードタイムとほぼ互角のタイムが出せるように なっていた。

予選初日、トップタイムを叩き出したのはやはりYAMAHAのアンダーソン。昨年のタイムを0.8秒短縮。 予想では最終的にはあと0.5秒は縮めてくるだろう。
対してHONDAワークスはこの時点でアンダーソンに遅れること0.5秒でガードナーが3位。
そしてなんとグンが2位!! タイム差0.2秒。

予選2日目、依然トップはアンダーソン。
HONDAワークスは意地を出し2位:ガードナー、3位サンダー。
グンは4位に落ちてしまう。しかしタイムはアンダーソンと0.3秒差。レースになればなんとかなりそうなタイム差だ。

迎えた決勝。
スタートで飛び出したアンダーソンが危なげない走りで優勝。
グンはガードナー、サンダーを抜くのに手間取り2人を抜いた時にはアンダーソンは5秒以上離れていた。
グンも何とか2位を確保する。

第2戦 グン:2位          第9戦 グン:1位
    アンダーソン:1位          アンダーソン:2位

第3戦 グン:2位          第10戦 グン:1位
    アンダーソン:1位           アンダーソン:リタイア

第4戦 グン:リタイア        第11戦 グン:1位
    アンダーソン:1位           アンダーソン:2位

第5戦 グン:1位          第12戦 グン:1位
    アンダーソン:リタイア         アンダーソン:2位

第6戦 グン:2位          第13戦 グン:リタイア
    アンダーソン:1位           アンダーソン:1位

            第7戦 グン:1位          第14戦 グン:3位
    アンダーソン:3位           アンダーソン:1位

第8戦 グン:2位          第15戦 グン:1位
    アンダーソン:1位           アンダーソン:2位

残すところあと1戦で2人の獲得したチャンピオンシップポイント
アンダーソン:189P
グン:188P
グンがチャンピオンになるためには最終戦を勝たなければならない。
そしてアンダーソンの結果次第では・・・。 
    

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 第8話

最終戦:SUZUKA
レースウィークの木曜にHRCのピットには変わった形のNSRが置かれていた。
来年型のNSR500である。まだテスト段階ではあるがかなりのポテンシャルが 確認されていた。このマシーンにHRCの2人を乗せる。
ホンダとしてはグンにチャンピオンを獲らせるためにHRCワークスの2人に グンの援護をさせるつもりだ。
ガードナー、サンダーの2人もグンを援護することに同意していた。
ホンダとしては1,2,3フィニッシュを目論んでいた。
HRCの2人がNEWマシーンに乗り換えたのでグンには今年型のNSRがまわってきた。
パワーはこちらのほうが断然あるのでグンも今年型に乗り換えることにする。

この日のフリー走行でHRCの2人とNEW NSRは絶好調!
対して、グンはストレートは格段に速くなったものの、やはりコーナーでのバランスが いまいちしっくりこない。
ガードナーの助言を聞いて乗り方を変えてみた。
いままで昨年型を乗っていたためコーナリングスピードをなるべく落とさずストレートにつなげていたが、 ここに来てハードブレーキングをして今まで以上にスピードを殺し、パワースライドでマシーンの向きを変えて アクセルワイドオープンで立ち上がる、立ち上がり重視のライディングをしてみた。
するとタイムが見る見るうちに縮まりだした。

予選:1位:ガードナー
   2位:サンダー
   3位:グン
   4位:アンダーソン

迎えた決勝。
スタートでガードナーがウイリーをしすぎて失速し、サンダーがホールショット。
2位:グン  3位アンダーソン
そのままレースは進み、残り10周で4位走行中のガードナーがスプーンカーブで転倒・・・
モニターに映っていた転倒シーンは何か不可解な転び方だった。
しばらくしてHRCのピットに無線が入った。
ガードナーの転倒はマシーントラブルが原因らしい。
こんにちのマシーンの製造誤差を考えるとトップを走るサンダーにも同様のトラブルが発生する 確率は高い。サンダーにすぐさまペースダウンのサインが出された。
もともとグンの援護役のサンダーはペースダウンはグンを前に行かせる為のサインだと思い、 グンを前に行かせて後、再びペースを元に戻した。
そしてその直後、サンダーのマシーンもバックストレートで止まってしまう・・・残り2周での出来事であった。
グンは楽々とトップを走る。2位にサンダーが繰り上がる。
そしてフィニッシュ・・・・
1位:グン  2位:サンダー

観客席は歓喜と落胆が交差していた。みな涙を流していたがそれは悔し涙であった・・・・

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 第9話

ウイニングランのグンはまったく喜びを表さなかった。
ただ、クールダウンのために走っていた。
ピットレーンの車両保管場所にもどってきたグンは待ち構える報道陣をよそに 無言のままピット裏にあるプライベートルームに向かった。
罰金覚悟で上位3ライダーの記者会見もキャンセルしてしまう。
そして表彰式が始まった。
3位のエディー・ローソン、2位のラルフ・アンダーソンが早々と壇上に上がっていた。
しばらくしてグンが一番高い場所に上がる。
それぞれにトロフィーが手渡され、シャンペンが渡される。
そしてシャンペンファイトが始まった。
しかし・・・・グンはシャンペン振らずをそのまま壇上に置き、早々と姿をけしてしまう・・・

ピット裏で梅井がグンを待っていた。
梅井は涙を流しながらグンに言った。
「すまない。すべては私の責任だ。お前には何もしてやれなかった。」
グンは「いいえ。よくやってもらいましたよ。第14戦でもう勝負はついていたんですよ。」
「あの時サンダーが勝って俺が3位にしかなれなかった時点でもうサンダーの勝ちだった・・・」
梅井はもう何も言えなかった。

チャンピオンシップポイント最終結果
グン:203P
アンダーソン:203P
ガードナー128P
エディー:126P
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

FIMランキング順位決定方法:
1)シリーズで得たすべてのポイントを合計し、総合ポイントの多い者から順位を決定する。
2)上記1)で同点の場合は上位順位獲得回数の多いものが上位となる。

グンとアンダーソンの獲得ポイントは同点のため2)が適用される。

グン:1位8回、2位5回、3位1回、リタイヤ2回
アンダーソン:1位8回、2位5回、3位1回、リタイヤ2回

グンとアンダーソンの上位獲得回数もまったく同じである。

そして・・・・
3)上記2)で決定できない場合、前年度ランキング上位の者を上位とする。

前年度ランキング
アンダーソン:1位(チャンピオン)
グン:ランキングなし(第5戦のみ出走、リタイヤのため獲得ポイント0)

よって今シーズンのチャンピオンはラルフ・アンダーソン!!

・・・その後このルールに多くの関係者が疑問を持ち、上記2)で決定できない場合は最終戦上位の者を上位とすると改められる・・・

グンはもう引退しょうと思った。
最大のライバルだったアンダーソンが最終戦を本気で走らず、グンの順位を見ながら走っていた事に落胆した。
どちらが最速のライダーかよりチャンピオン獲得に動いたアンダーソンと今後張り合う気が無くなった。

最終戦SUZUKAが終わって1週間後、正式に引退を発表した。

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 第10話

引退後、グンはHRCからの要請で1年だけレースアドバイザーを務めたが その後レース界には姿を見せなくなった。

そして十数年後・・・・

あるサンデーレースのプログラムに懐かしい名前が載っていた。
出場クラス:AIR COOLED ゼッケン:56 巨摩 郡 チームヒロモータース マシン:CB750F 空冷マシンによる改造無制限のクラスに、当時のままのマシン(セパハン、バックステップ、モリワキショートマフラー、 F:19 R:18インチ、ENGはノーマル)での出場だ。
所属チームはもちろん八百屋をぶっ壊してバイク屋を始めた比呂のお店である。
大改造のマシンが大半を占めるクラスで予選:18位
ピットで比呂達と雑談していると30歳代らしき人々が何人かグンに握手を求めてきた。
グンも快く握手に応じる。彼らにとってグンは未だにヒーローなのだ。
迎えた決勝、さすがのグンもマシンの性能差をカバーできず12位でフィニッシュした。
それでもピットに戻ってきてヘルメットをとったグンには清々しい笑顔があった。

そしてその2ヶ月後・・・

まだ薄暗い鈴鹿サーキットのグランドスタンドに2人の姿が朝日に照らされていた。
2人の名は・・・
沖田 翔:18歳
巨摩 翼:16歳
そう! 彼らは比呂とグンの息子達である。
1週間後に行われる4時間耐久レースに出場するためやってきたのだ。

ここからまた新たなバリバリ伝説が始まる・・・・   完

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